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「有効性90%」をうたう新型コロナウイルスのワクチンが歴史的な成果となるか。論文報告から効果、副反応について考察してみる

  • heiwamed0002team
  • 2020年11月16日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月24日

新型コロナ感染者数が最近増えてきています。連日新型コロナウイルス感染者数が1000人を超しており早急の対策が必要な状況です。

そんな最中、 米ファイザーと独ビオンテック社から新型コロナウイルスワクチンのフェーズ3試験で良好な中間解析結果がでたと報告がありました。しかも「有効性90%」をうたっています。

新しいタイプのワクチンであるmRNAワクチンの効果と副反応についての論文報告を紹介します。

■新しいメカニズムのmRNAワクチンとは

ワクチンとは異物を体にあらかじめ接種して、それに対する抵抗力をもたせるのが基本的なメカニズムです。

具体的には、従来のワクチンは不活下化したワクチン成分や弱毒化ウイルスを接種することにより、体がそれに対する抵抗力(抗体)をつくっていました。

新型コロナウイルスもこの方法のワクチンが作ることができればよいのですが、ワクチンをつくるためには不活化した(感染力のない)ウイルスが必要です。。

インフルエンザウイルスは孵化鶏卵の中で安全に増やして、それを不活下することができるのでワクチンが製造できるのです。ところが新型コロナウイルスはウイルス自身が危険すぎてワクチン製造のためにウイルスを増やすことができません。

ワクチンの原料が手に入らない。ではどうするか。

そこで考えられたのがmRNAワクチンです。ウイルスの一部分を作る遺伝子を体にワクチンとして接種、ヒトの体の中でmRNAを発現(作動)させてウイルスの一部分を作成、それを異物として体が認識して抵抗力をつける方法です。

従来のワクチンが外から異物接種、からだが異物として認識して抵抗力をつくるという比較的単純な方法です。

一方、mRNAワクチンは異物をつくる遺伝子を外からヒトに接種して、体のなかで異物をつくらせ、それにたいしてからだが異物として認識して抵抗力をつくるという、非常にトリッキーな方法です。

このような複雑なメカニズムのワクチンが実用化できる直前の段階まできているとは医学の発達に驚くばかりです。

■スパイクタンパクとは

米ファイザー社と独ビオンテック社は開発段階でワクチンの候補として、BNT162b1、BNT162b2の2種類を見つけて製造に成功しています。ワクチンを接種した効果、副反応について論文報告しています。

mRNAワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパクとよばれるウイルスが体に侵入する時にはたらく部位だけを作るように設計されています。

スパイクタンパクの受容体結合ドメイン(RBD:receptor-binding domain)に対する抗体をからだがつくるようにワクチンは設計されているのです。

■ワクチンの効果

米ファイザーと独ビオンテック社は開発段階でワクチンの候補として、BNT162b1、BNT162b2の2種類を見つけて製造に成功、この2種類のワクチンが効くかどうかについて検討しています。先日報道された新型コロナウイルスワクチンはBNT162b2の用量30μgを採用しています。

ワクチンは2回接種。1回目と2回目の間隔21日あけています。

棒グラフのようにmRNAワクチン接種でBNT162b1、BNT162b2ともにIgGという抗体出現が確認できています。BNT162b1ワクチンが赤の棒グラフ、BNT162b2が青の棒グラフです。

■ワクチン副反応

ワクチン接種時の痛み 18才から55才の若年者ではBNT162b1の30μgでは100%全員が痛みを自覚、BNT162b2の30μgでは83%が痛みを感じています。 65才から85才の方は75%と67%と若干痛みを自覚した割合はすくないですが、それでも3人に2人以上は痛みを感じるようです。

ワクチン接種後の倦怠感 18才から55才の若年者ではBNT162b1の30μgでは83%、BNT162b2の30μgでは75%が倦怠感を自覚しています。

ワクチン接種後の発熱 18才から55才の若年者ではBNT162b1の30μgでは75%、BNT162b2の30μgでは17%が38度以上の発熱を経験しています。

ワクチン接種後の寒気 18才から55才の若年者ではBNT162b1の30μgでは67%、BNT162b2の30μgでは58%が接種後に寒気(chill)を経験しています。

発表されたワクチンはBNT162b2の30μgです。BNT162b2の55才以下接種者だけをみると接種時の痛み83%、倦怠感75%、38度以上の発熱17%となります。

従来型のワクチンに比べ接種後の全身反応が強くでる印象です。

■ワクチン有効率90%はどのような計算式から算出されているか

「有効性90%」とうたわれる新型コロナウイルスmRNAワクチンの90%と言う数字はどのように算出されているのでしょうか。現在mRNAワクチンはフェーズ3の中間報告があった段階です。フェーズ3の詳細なデータは今後発表されますが、現段階では以下の状況です。

4万人の治験参加者を2万人は未接種、2万人はmRNAワクチン接種の2つのグループに分けて検討しています。接種したグループからは9人が新型コロナ感染、未接種グループからは85人感染。

有効率は (85-9)÷85x100=89.4% 有効率90%と発表されています。

数値上は有効率90%の数値ですが、2万人にたいして新型コロナウイルス感染者が9人と85人と非常に感染率の低い数値で同士で比較であることを留意しておく必要があります。

■まとめ

新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの実用化が目前まできています。

従来のワクチンにくらべ接種時に痛みや接種後の発熱、倦怠感などが多い印象ではありますが、mRNAワクチン接種で目的とするIgG(免疫)がつくことも確認できています。

中間報告されたmRNAワクチン今後の展開に期待するところです。

■参考リンク その他各種ワクチンについて

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