- ピロリ菌とは
- ピロリ菌と胃がんの関係
- ピロリ菌感染による10年間の胃がん発がん率
- ピロリ菌を発見する方法
- ピロリ菌の検査方法
- 胃カメラを使わずに、血液、行き、便から
間接的にピロリ菌有無を調べる - ピロリ菌の除菌・治療方法
- 9割以上の確率でピロリ菌を退治する方法
- ピロリ菌を除菌した後の胃のメンテナンス
ピロリ菌とは
胃粘膜の中に住んでいる菌で、正式名はヘリコバクター・ピロリですが、略して「ピロリ菌」もしくは「ピロリ」と呼ばれています。
十二指腸潰瘍や胃潰瘍のほとんどは、ピロリ菌が胃にはいりこんできて起こる病気です。
一度潰瘍になった人が潰瘍を何回も繰り返すのは、ピロリ菌が、一度胃の中に入り込むとそのままずっと胃の中で生き続けるためです。
“かいよう”の再発予防のためにピロリ菌の除菌が積極的に実施されています。
ピロリ菌と胃がんの関係
ピロリ菌は、胃の粘膜に居座り続けることで、慢性的に胃炎(胃があれる状態)を起こします。
胃炎が続くと、胃の粘膜が腸の粘膜のような状態になってしまいます。
この状態は腸上皮化生とよばれ、胃がんが起きやすい状態です。
ピロリ菌が「慢性的に」ずっと胃の粘膜を刺激つづけて荒らすことが、胃がんの原因となるのです。
正常の胃
↓
ピロリ菌感染
↓
慢性胃炎
↓
腸上皮化生
↓
胃がん
ピロリ菌感染による10年間の胃がん発がん率
ピロリ菌をもっている方、全員が胃がんになるわけではありません。
研究から、ピロリ菌をもっていない人に比べ、ピロリ菌をもっていると何倍も胃がんになりやすいことが分かっています。
数字にすると、ピロリ菌をもっているときの、発がん率は1年間で0.5%です。
0.5%と聞くと少ない印象をもたれるかもしれませんが、0.5%は1年間の数字です。
10年で計算すると
0.5%x10年=5%
10年で5%の発癌率となります。
ピロリ菌感染者10年の間に20人に1人、胃癌がおきることになります。
かなり高い数値です。
胃がんの原因となるピロリ菌ですが、薬でピロリ菌除去することで、胃がんを予防することができます。
正確にはリスクはゼロにはなりませんが、胃がんになるリスクが30%も低下します。
ピロリ菌を発見する方法
ピロリ菌はこどもの頃に体の中に入り、胃のなかに何十年もの間居座り続けます。
ピロリ菌は胃粘膜の中に潜り込むよう、気配を消して隠れているので、ピロリ菌がいるかどうか、胃の痛みや胃違和感などの自覚症状からは分かりません。
でも安心してください。
下手な子供のかくれんぼみたいなものです。頭隠して尻隠さず、ピロリ菌がかくれていれば、なんらかの痕跡を残します。
痕跡を調べることで、ピロリ菌がいるかどうかを判定できます。
血液、便、胃粘膜など、さまざまな場所をチェックすることでピロリ菌がいるかどうか分かります。 ピロリ菌の検査方法には主に2種類あります。
(1)胃カメラ(内視鏡)を用い直接胃を調べる方法
(2)胃カメラを使わず、血液、息、便から間接的にピロリ菌有無を調べる方法
ピロリ菌の検査方法
胃カメラ(内視鏡)を用い直接胃を調べる方法
胃カメラで直接胃粘膜を採取(生検)した組織を調べます。
迅速ウレアーゼ試験・・・ pHにより色が変わる特殊な試薬に組織を入れ、色の変化にてピロリ菌有無が判定できます。
組織鏡検法・・・ 採取した組織をホルマリン固定した後に染色して、顕微鏡でピロリ菌有無を調べます。
培養法・・・ 採取した組織を培養して増やしピロリ菌有無を直接調べます。直接ピロリ菌を調べる培養法がもっとも正確な方法ですが、結果が出るまでに1週間ほど時間がかかることが欠点です。
胃カメラを使わずに、血液、行き、
便から間接的にピロリ菌有無を調べる
ピロリ菌は胃に感染するバイ菌ですが、感染した痕跡は胃を直接しらべなくても血液や便を調べる事によりわかります。これらの方法は、胃カメラを使わないので簡便な事が特徴ですが、直接しらべる培養法に比べ感度が落ちることが欠点です。
尿素呼気試験(UBIT検査)・・・ 診断薬を内服した後に、風船をふくらませていただきます。風船の中の呼気の成分をしらべる事により、ピロリ菌有無が判定できます。
血清抗体価検査・・・ ピロリ菌が体に感染すると、体は菌に対抗するために抗体と呼ばれる免疫物質をつくります。ピロリ菌に対する抗体の有無を血液でしらべます。
便中ピロリ菌抗原検査 ・・・ ピロリ菌は胃粘膜に感染する菌ですが、菌の一部は胃から落下して便にまざります。便の中にピロリ菌の成分が混入しているかによりピロリ菌有無が判定できます。
ピロリ菌の除菌・治療方法
胃粘膜の中に住んでいる菌で、正式名はヘリコバクター・ピロリですが、略して「ピロリ菌」もしくは「ピロリ」と呼ばれています。
胃かいよう、十二指腸かいようを繰り返す方でピロリ菌がいる場合、抗生物質を飲んでピロリ菌を治療(ピロリ菌除菌)します。
潰瘍の薬と2種類の抗生物質、合わせて3種類のくすりを1週間内服していただきます。
除菌治療から、1~2ヶ月後に胃の中からピロリ菌がいなくなっているか調べます。ピロリ菌がいなくなれば治療終了です。
ピロリ菌治療の副作用について
抗生物質を内服しますので、軟便あるいは下痢が起きることが有ります(約5人に1人)、しかし一時的な症状で治療がおわればおさまります。
当院では、上記治療で約92.5%の患者でピロリ菌の除菌ができるというデータが出ています。
9割以上の確率でピロリ菌を退治する方法
ピロリ菌に効く抗生物質を2種類使って治療します。
さらに抗生剤がよく効く胃環境をつくるために、胃薬(胃酸をおさえる薬)を一緒に服用します。
当然のことですが、ピロリ菌治療には
ピロリ菌に効く(感受性がある)抗生物質を選択することが大切です。
2種類の抗生物質は
ペニシリン系の抗生物質、アモキシシリン
エリスロマイシン系の抗生物質、クラリスロマイシンです。
ペニシリン系とエリスロマイシン系の異なる2種類の抗生物質を重ねることで、効果的にピロリ菌を除去します。
さらに、ピロリ菌治療には適切な抗生物質を選択することとともに、1点重要なことがあります。
抗生物質は酸に弱いのです。
残念な事に、胃の中はpH1-2の強酸性です。
そのまま、抗生物質を投与しても効きません。
胃内のpHをあげる(中性にする)必要があります。
胃酸分泌を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)を併用します。
ボノプラザンやエソメプラゾールなどのPPIを併用することで、胃内pHが5以上にあがります。
抗生物質2種類とPPI(酸分泌抑制剤)を併用することで
- ピロリ菌に効く抗生物質を組みあせる
- 抗生物質が効くように胃内のpHを上げる
の条件を満たし、除菌率を高めます。
薬をのむのは1週間です。
この3種類を組み合わせた治療で、中島クリニックでは、92.5%
9割以上の患者さんの、ピロリ菌の退治に成功しています!
ピロリ菌を除菌した後の胃のメンテナンス
ピロリ菌除菌後は胃カメラによる胃の定期検診が理想です。
ピロリ菌がいなくなった=胃がんにならない
ではありません。
ピロリ菌がいたことをきっかけに胃のメンテナンスをしましょう。
年に1回の胃カメラによるチェックをおすすめします。
中島クリニックでは胃内視鏡検査を行っています。
中島クリニックでの胃カメラは痛くない胃カメラとしても定評があります。
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