片頭痛とは
片頭痛はこめかみの所がズキズキ、ドクンドクンと脈打つように痛む頭痛です。天気が悪いとき、仕事が忙しかった後の休日など生活のリズムが大きく変わるときに起きやすい頭痛です。片頭痛は20代から30代の女性に多くみられます。片頭痛は頭痛だけでなく、激しい吐き気、光に過敏になりまぶしく感じたり、視野にギザギザの光が見えるような症状をともなうこともあります。片頭痛の治療は症状が軽いときにはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬を用いますが、症状が重い時にはトリプタンとよばれる片頭痛の特効薬を服用することもあります。吐き気が強くて薬を飲めない時には、点鼻薬(はなから使うトリプタン製剤)や注射もあります。
片頭痛の原因
片頭痛はこめかみの所がズキズキ、ドクンドクンと脈打つように激しく痛みます。
神経から放出されるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が片頭痛の一因であることがわかってきています。
片頭痛が起きるときには脳の血管が最初にけいれんを起こし収縮、その後血管が拡張してきます。
それにともなってズキズキとする脈打つ痛みがおきてきます。
片頭痛の誘因
片頭痛は、生活リズムの変化、ストレス、気圧の変化などさまざまな誘因が引きがねとなります。
生活リズムの変化で片頭痛がおきやすくなります。仕事が忙しく何日間も睡眠を削って働いているときは片頭痛でないのですが、仕事が一段落ついた休日に片頭痛が出たりします。
外来でお会いする患者さんが首をかしげながら「不思議と週末になると頭痛がでるのです」と訴えらえるのは、この生活リズムの変化が誘因となっているからです。
朝食を抜く、忙しくてお昼ご飯を抜くなどの過剰な空腹も片頭痛の引きがねとなります。
アルコールの飲み過ぎ、時に赤ワインも誘因となります。食べ物ではチョコレート、チーズ、ナッツも片頭痛の誘因となります。睡眠不足も片頭痛を誘発するのですが、逆に睡眠不足がつづいた後に寝だめをしようと寝過ぎると片頭痛の原因となります。
生理前、生理中も片頭痛が起きやすい時期です。
これはエストロゲン、プロゲステロンというホルモンが生理サイクルで血中濃度が変化することが片頭痛の誘因となっています。
片頭痛の診断
片頭痛は痛みの症状経過からの診断となります。痛みの特徴としてはズキズキとする拍動性の痛みで、生活に支障を来すほどの中等度から重度の痛みです。
痛みに、吐き気や嘔吐、場合によっては下痢腹痛などの症状をともなうこともあります。
光や音の過敏もともなうことがあり、普段より光がまぶしく感じる、普段気にならない車や人の会話など生活音がうるさく感じることがあります。
片頭痛になる前兆がでることもあります、頭痛の前に視野にギザギザとした光がでてくる閃輝暗点(せんきあんてん)は多くみられます。
人によっては、眠気、気分の変調、漠然とした頭痛になりそうな予感、嗅覚の過敏などが片頭痛の前に感じることもあります。
日本人の10人から12人に1人は片頭痛もちともいわれています。
片頭痛の診断に頭部CTやMRIの検査は必須ではありませんが、脳梗塞や脳腫瘍などが原因として隠れていないか症状経過から判断して必要なときは、頭部CTや頭部MRIを撮影します。
※MRIが必要な場合は、関連の病院を紹介致します。
片頭痛の治療
当院の片頭痛の治療は生活習慣の改善と薬による治療からなります。
生活習慣の改善
片頭痛は生活リズムの変化、特定の食べ物などが誘因となります。
睡眠不足が続いた後に寝坊した時、アルコール特に赤ワインを飲み過ぎた時、仕事が忙しくて昼食を抜いた後などです。規則正しい生活リズム、規則正しい食事、睡眠時間を一定に保つことで片頭痛の予防となります。個人差がありますが、特定の食べ物、ナッツ類、チーズ、ワイン、中華料理などが片頭痛の誘因となることがあります。
片頭痛を繰り返す時には、直前に何を食べたか食事記録をつけて原因を特定することも予防につながります。
薬による治療
当院では片頭痛は症状が軽い時にはアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの鎮痛剤を用います。症状が強く鎮痛剤だけでは効果が不十分な片頭痛には特効薬であるトリプタンを用います。トリプタンは血管を収縮させる働きをもち片頭痛の原因を治療します。トリプタンは片頭痛の早期に服用するのが効果的です。特に視界にギザギザの閃輝暗点が見えたり、嗅覚や光過敏などの片頭痛の予兆を感じた時に服用するのが有効です。
トリプタン製剤にはスマトリプタン(イミグラン)、エレトリプタン(レルパックス)、ゾルミトリプタン(ゾーミック)、リザトリプタン(マクサルト)、ナラトリプタン(アマージ)など多くの種類があります。
薬の剤形も錠剤、水なしで服用できるように口の中で溶ける崩壊錠、点鼻薬、注射があります。トリプタン製剤、剤形が自分の片頭痛に合うのか当院にお気軽に相談してください。
数ヶ月に1回程度の片頭痛は鎮痛剤やトリプタン製剤を服用しますが、週に何回も片頭痛が起きるなど生活に支障を来すような時には予防薬を服用します。カルシウム拮抗薬やβ遮断薬がよく用いられます。カルシウム拮抗薬はロメリジン(ミグシス、テラナス)、β遮断薬はプロプラノロール(インデラル)、メトプロロール(セロケン)などがあります。その他抗てんかん薬がてんかんだけでなく片頭痛にも効くことがわかってきています。抗てんかん薬であるトピラマート(トピナ)を予防のため服用することがあります。
片頭痛とは
自分自身が片頭痛を持っていることに気づいてないことがあります。
ひどい吐き気、体のだるさがありクリニックを受診された方に、「頭痛はありますか?」と聞くと「そういえば頭痛が出てその後にひどい吐き気、体のだるさが出てきました」と経過をお話いただき、そこではじめて頭痛に気づくことがあります。片頭痛が原因の消化器症状です。
片頭痛を治療、予防することで体のだるさがとれます。
不定期におきる全身倦怠感、嘔気嘔吐などがある方は当院までに片頭痛の可能性はないか相談してみてください。