一昨日の台風21号関西直撃による災害、中島クリニックのある西宮市も各地で停電、信号も消え大混乱でした。インターネット回線が今もつながらず、このブログスマホで書いています。 そして、今朝北海道での震度7の地震 日本中、台風と地震で大混乱、日本ではほとんど報道されていませんが海外ではこんな、奇妙な事件がおきています。
ドバイ発ニューヨーク着エミレーツ機、11人が病院へ搬送、100人以上が体調不良
■ドバイ発ニューヨーク着エミレーツ機、11人が病院へ搬送、概要
ドバイ発ニューヨーク着エミレーツ機、機内で発熱、咳の患者が多数発生、ニューヨークJFケネディ国際空港には救急車がかけつけて大混乱しています。
ガーディアン誌、news.com.auなどの記事から情報を抜粋すると
アラブ首長国連邦ドバイ発、エミレーツ機
ドバイからニューヨークの飛行時間は14時間
発熱咳の患者発生 エアバス社製A380、2階建て世界最大の旅客機
521人の乗客 19人が何らかの病気と確認
11人が病院へ搬送された、現時点では入院を要したかどうかは不明
106人が体調不良を訴えた
偶然乗り合わせたラッパーのVanilla Iceさんがtwitterに多数の救急車(now there is like tons of ambulances)が空港に集まっている様子を動画投稿しています。
■咳、発熱、潜伏期間
ドバイ発飛行機内で521人の乗客、106人が体調不良、11人が病院へ搬送 この情報からは、機内で何か謎の感染症が発症している印象を受けるかもしれませんが、個人的には機内での「感染ではない」のではないかと感じています。
ニュースによると症状は咳、発熱です。インフルエンザの症状でも合います。ただ、1点機内での感染とすると矛盾するのが潜伏期間です。飛行機搭乗時間は14時間です。この短時間で感染して発症するとは考えにくい時間の短さです。 インフルエンザ、SARSやMERSなどのコロナウイルス系の感染症でも、感染から症状がでるまで2日はかかりそうなものです。
100人以上人が体調不良を訴え、11人が病院搬送されたとなると、一元的(一つの原因に特定)に物事を考えたいところです。機内で何か原因がと疑ってしまいますが、発熱、咳の症状の人と、100人以上の体調不良の原因は別かもしれません。
咳、発熱の症状の人は、飛行機に乗る前にインフルエンザなど何らかの感染症にかかっていたのかもしれません。
乗客の何人かは、イスラム教の「ハッジ」の聖地巡礼に参加していました。今回の発熱とは症状が合致せず、話少しそれますが、渡航医学の世界では聖地巡礼前には、髄膜炎菌髄膜炎ワクチン接種が常識です。「ハッジ」の聖地巡礼で多数の一堂に会することで、髄膜炎菌髄膜炎の流行が過去に何度もおきています。
■機内は密室なのか
飛行機の中、みんなが思っているよりはるかに空気はきれいです。飛行機という閉鎖空間なので、誰かが病気を持ち込んだらまん延しそうなものですが、そうはなりません。
機内の空気は座席の上から下へ循環しています。1時間に20回ほど、3分に1回新鮮な空気に入れ替わるように循環しています。潅流させる空気は細菌やウイルスを除去するHEPAフィルター(High Efficiency Particular Air Filter)を通しています。
過去に麻しん患者さんが機内に乗り込んだケース、結核患者さんが機内に乗り込んだケース(もちろん麻しんや結核を持ち込んだ人は自分が感染しているとは知らずにです)など検討されておりますが、ほとんど感染報告がないのが現状です。過去累積100人ほどの麻しん患者さんが機内に同乗、延べ10000人ほどの同乗者と接触、感染が確認されたのは数人程度でした。
飛行機の機内は、空気を座席の上から下へ循環、HEPAフィルターを通しており、密室ではあるが、機内換気システムのおかげで、清潔な環境が保たれています。感染症に関して、安心して飛行機のってよいでしょう。
多数の乗客が体調不良を訴え、一部の乗客が発熱しているこの奇妙な現象、今後のCDC(米国疾病対策センタ)の精査結果がまたれるところです。