肝炎ウイルスにはA型・B型・C型・D型・E型があります。
C型肝炎ウイルスに感染したことで発症するのがC型肝炎ウイルスです。肝炎ウイルスの型により病気の経過が大きくわけて2種類あります。急性肝炎と慢性肝炎です。
A型肝炎は感染しても急性肝炎を起こし慢性化しません。
一方B型肝炎とC型肝炎は急性肝炎を起こした後、慢性肝炎へ移行することがあります。慢性肝炎が続くと、肝硬変、肝がんを併発したりするため、慢性肝炎の段階での治療が大切です。C型肝炎の治療はインターフェロン注射治療が中心でしたが、近年飲み薬だけの治療(直接作用型抗ウイルス薬DAA)が開発されました。
C型肝炎は飲み薬だけで95%以上が治る時代になりました。
C型肝炎は日本の慢性肝炎のうち約70%を占め、無症状の人を含めると感染者は150万人いると推測されています。
C型肝炎とは
C型肝炎ウイルスは1989年にアメリカのカイロン社が遺伝子解析をして見つかったウイルスです。
C型肝炎ウイルスに感染するとC型急性肝炎を起こします。
半分は自然治癒しますが、残り半分は慢性化します。
慢性化率が40%から70%と高率であるのがC型肝炎の特徴です。
慢性肝炎が続いたのちに、肝硬変、肝がんを併発することがあります。
C型肝炎感染経路
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。
C型肝炎ウイルスが発見される前の時代の輸血が主な感染原因です。
C型肝炎に感染している人が使用した器具からの感染もあり、針を共用することによる入れ墨、ピアスの穴あけからの感染もあります。非常にまれではありますが、母子感染、性感染もあります。
日常生活上の接触、握手をする、介護をするなどの接触では感染しません。
慢性C型肝炎の症状
自覚症状は少なく、軽度の全身倦怠感程度です。
まれに、吐き気、発熱、扁平苔癬(治りにくい口内炎のようなキズ)をともなうことがあります。 慢性肝炎から肝硬変(非代償期)にいたると、腹水、血中アンモニア上昇、低アルブミン血症から、腹部膨隆、腹満感、肝性脳症による意識障害など症状が顕性化してきます。
自覚症状がほとんどないため、会社の健康診断やドックで指摘されて、はじめてC型肝炎に感染していることに気づくケースが少なくありません。
C型肝炎の診断
C型肝炎の診断は血液検査が中心となります。
HCV抗体の有無、血中C型肝炎ウイルス量(HCVRNA)を測定することにより、診断をすることができます。C型肝炎ウイルスは遺伝子の違いにより1a、1b、2a、2bなど主に7種類の遺伝子型があります。遺伝子型(ジェノタイプ)を判定して治療方針をきめます。日本人に多いのはジェノタイプ1b型で70%を占めます。2a型、2b型がそれぞれ20%、10%程度です。
肝機能を評価するために、血液検査でAST、ALT、rGTP、アルブミン、血小板などを調べます。
腹部超音波検査で、肝臓、脾臓の状態を観察、血液検査と併せて総合的に判断します。
C型肝炎治療
C型肝炎治療は25年前にインタフェロン注射による治療が効くことが発見され以降、インタフェロンを中心に行われてきました。 しかしインターフェロン治療はインフルエンザ様の高熱、甲状腺機能異常などの副反応が非常につよいことと、日本人に多い遺伝子型である1bには効果が乏しいのが課題でした。
近年C型肝炎ウイルスの増殖にかかわる部位に直接作用してC肝炎が治癒する治療法が開発され、非常に有効な治療方法として確立されてきています。インターフェロンフリー治療、C型肝炎内服治療、DAA(直接作用型ウイルス)治療とよばれています。 2014年からインターフェロンフリー治療、ダクルインザ、スンベプラ(ダクラタスビル、アスナプレビル)に続いて、ハーボニー(ソフォスブビル、レディパスビル)、ヴィキラックス(バリタブレビル、リトナビル、オムビタスビル)、さまざまな種類の有効なインターフェロン治療が受けることができるようになりました。
2014年当初、インターフェロンフリー治療は24週間(6ヶ月)服用が必要でしたが2015年からは12週間(3ヶ月)の治療で効く治療も受ける事ができる様にになり、現在は12週間(3ヶ月)の治療が主流です。 さらに全ての遺伝子型に効なインタフェロンフリー治療であるマヴィレット(グレカプレビル+ピブレンタスビル)が2017年から治療に使えるようになっています。 肝硬変に至っていても治療が可能であるインターフェロンフリー治療であるエプク-ルサ(ソホスビル+ベルパタスビル)による治療も2019年からできるようになっています。 インターフェロンフリー治療でC型慢性肝炎が治る時代になりました。
大切なこと
C型肝炎治療はインターフェロンで治療していた時代には難治性の病気でした。 日本人に多い遺伝子型1b高ウイルスのC型肝炎はインターフェロン治療では2人に1人がようやくウイルスが消えて治る程度でした。
2014年にインターフェロンを使わない内服治療(直接作用型ウイルス薬)が始まり、90%以上の人が飲むだけの薬で治るようになりました。その後さらによい薬が開発され、現在では95-99%の人が治るようになりました。
C型肝炎が治る時代になりました。自覚症状がないのでC型肝炎をそのまま経過観察されている方は、当院にご相談ください。