食習慣と寿命そして病気の関係は昔から検討されています。
これらを調べるためには個人個人の病気寿命を見ていては検討することができません。
そこで用いられるのは疫学調査と言って何百人何千人何万人という集団を見て病気や寿命と関係があるかどうかを調べます。
マクドナルドのお店との距離に比例して糖尿病だったか肥満の方が多いといった論文を昔アメリカから報告されたのを見たことがあります。
しかしこのような疫学調査は日本ではほとんど行われていないのが現状です。
ラーメンと脳卒中の関係を疫学的に調査した非常に興味深い論文がありました。
■なかなか興味深い疫学調査です
あくまでもイメージですが
ラーメン店が多い
ラーメンを食べる機会が多い
塩分摂取量が多い
高血圧が多い
結果、血管が詰まる病気、出血する病気などの病気が増える
こんな風が吹けば桶屋が的な話を想像するのですが、 実際にこれを検討するのは容易なことではありません。人間の体はこんな単純ではありませんし様々な要因が関わってきます。
人口に対するラーメン店イタリアンフレンチお蕎麦の数を集計してそれと重ね合わせることで地域ごとの脳卒中が多いか少ないかを検討しています。
(Citation: Matsuzono K et al. Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study. Nutr J. 2019 Sep 4;18(1):53)
■クリニックのある西宮市、全国的にみるとラーメン店多くなかった
クリニックのある西宮市は、東西に走る国道2号線があります西宮市から神戸に向かう2号線沿線には両脇にラーメン店が鈴なりになっているエリアがあります。
ラーメンストリートとも言われています。
西宮市はラーメン店多いのかと思っていたのですが人口対比率を全国で見てみると、決しておおくなかったのですね。
■ラーメン店、フレンチ、イタリアン、そば、うどん店、ファーストフードと脳卒中の関係
グラフは横軸に人口当たりのラーメン屋フレンチイタリアンレストランなどの数をプロットしています。
縦軸には脳卒中などの人口当たりの疾病割合をプロットしています。
結果お店の数と疾病の数が創刊した言い換えるとグラフが右上上がりの線になったのは、ラーメン店の数だけでした。
フレンチ、 イタリアン、そばう、どん店、ファーストフードと病気の関連は見られませんでした。
ファーストフード店の数と脳卒中の数は関係ないものなんですね。まあ、あくまでも統計的な話なのですが。
■交絡因子
ただこの結果ラーメン店が多いと脳卒中が増えるという単純なものではありません。何らかの相関があった、言い換えると関係があったを示しているだけです。因果関係とは違うところに注意してください。
ラーメン店が多い、ラーメンを食べる機会が多い食生活を有する人は、「直接の原因は分からないが」、食生活の傾向や生活スタイルが脳卒中につながる傾向をもっているというということは言えそうです。
■まとめ
フレンチ、 イタリアン、そばう、どん店、ファーストフードの数と病気の関係を疫学的に示した非常に興味深い報告です。塩分の量なのか、油の摂りすぎなのか、それとも夜中にラーメンを食べる食習慣なのか直接の原因はわかりませんけれども 、食習慣が思っている以上に病気とかかわりがあることは言えそうです。