病気には季節の影響をうけるものがあります。血圧値はその最たるものです。
暑い夏は、脱水傾向もあり血圧は冬に比べて低めになる傾向があります。一年中同じ量の薬を飲むわけでなく、夏に血圧の薬が減量出来る方もあります。
血圧値ほど知られていないのですが、糖尿病の治療指標であるHbA1cも季節により変動することが分かってきました。
■糖尿病の治療指標であるHbA1cには季節変動あり
東京女子医大病院からの報告が有名で2511人のHbA1cを月ごとに平均したら、非常にきれいなS字カーブを描いています。 (Sakura H et al. Seasonal fluctuations of glycated hemoglobin levels in Japanese diabetic patients. Diabetes Res Clin Pract. 2010 Apr;88(1):65-70)
1年の内でHbA1cが高くなるのは2月3月の寒い時期、良くなる(低下する)のは7月8月9月の暑い時期です。
HbA1cが高くなる冬と下がる夏を比べると、0.2%から0.3%程上下しています。
寒くなると、外出する機会が極端に減り糖尿病コントロールが悪くなる。如実に季節の影響を受けています。
お正月明け糖尿病が悪くなる方多く、
「いやあ今年はおもち食べ過ぎたので、血糖あがっちゃいました」という会話をすることが多いのですが、これよく考えてみると食事内容の影響だけではなさそうです。
普段と違う食生活の変化が糖尿病悪化の原因であれば、お正月明けだけでなく、お盆明けの8月9月の採血でもHbA1cが上がるはずです。お盆明けの8月9月は上がるどころか、逆に下がっています。
と考えると、夏と冬でことなるのは、寒さによる活動量の違いでしょうか。
■日本のみならず、海外でもHbA1cに季節変動あり
ポルトガルから糖尿病治療指標であるHbA1cの季節変動の報告がありました。
ポルトガル行ったことないのですが、いやポルトガルだけでなくヨーロッパ行ったことないので気候想像つかないのですが。
地球の歩き方によると、東京+5度ぐらいのイメージですね。
(Citation: https://www.arukikata.co.jp/weather/)
なんと季節変動は日本と同じ、2月が一番悪く(高く)、8月9月が良く(低く)なります。
(Citation: Pereira MT et al. Seasonal variation of haemoglobin A1c in a Portuguese adult population.Arch Endocrinol Metab. 2015 Jun;59(3):231-5.)
国、気候が異なっても気温の影響を非常にうけるということですね。
■まとめ
お正月明けに糖尿病の患者さんのHbA1cが上がるのは年末年始の食生活の変化が原因と思っておりましたが、季節変動のグラフをじっくりと眺めてみると食生活の変化よりも運動量の変化を受けている印象です。
寒くなる冬は外出がおっくうになり、家で過ごす時間が増えてしまいます。寒い時期こそ運動ですね。