健康情報テレホンサービスの原稿として「健康診断で肝機能異常を指摘されたら」をテーマに寄稿したものです。
健康診断で肝機能異常を指摘されたら
健康診断では肝機能を調べるために、英語の頭文字で表現するAST、ALT、γGTPという血液検査の数値を測ります。昔GOT、GPTと呼ばれていたものは、現在ではAST、ALTと呼ばれるようになっています。
ASTとALTの正常値はともに31(IU/L)未満、γGTPは51 (IU/L)未満です。
ASTとALTは、おもに肝臓に存在する酵素です。何らかの原因で肝臓の細胞が壊れると血中に漏れ出して、AST、ALTが高い数値となります。
γGTPは、肝臓や胆汁を流す管である胆管にあるタンパク質を分解・合成する酵素です。アルコールの過剰な摂取や肥満があると、酵素が過剰に作られるため、γGTPが高い数値となります。
肝機能値は、ウイルス性肝炎、脂肪肝、胆石症、薬剤、肝臓腫瘍などさまざまな原因で上昇します。さらにASTは肝臓のほか、心臓などにも多く存在しますので、心筋梗塞のように心臓の細胞が壊れるような病気でも上昇しますから、注意が必要です。
肝機能が上昇する原因で、特に重要なのはB型肝炎、C型肝炎などのウイルス性肝炎です。
これらのウイルスは何十年と体の中に居座り、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝がんを引き起こすことがあります。これらのウイルスが体の中にいるかどうかは、B型肝炎抗原やC型肝炎抗体と呼ばれる血液検査で分かります。肝機能障害の原因がウイルスであれば、ウイルスを除去する治療にとりくむ必要があります。
さらに、脂肪肝という疾患は、食べ過ぎや運動不足などによって、過剰なカロリーが肝臓にたまるため、フォアグラのようになってしまっている状態のことです。現代は飽食の時代で、成人の4人に1人が脂肪肝ともいわれています。脂肪肝は、食べ過ぎ、運動不足、アルコールの飲み過ぎが原因ですから、まずは生活スタイルを改善することが大切です。
肝機能異常を指摘されたら、その原因をつきとめるために、内科や消化器内科の診察を受け相談されることをおすすめします。