ライフスタイルの変化によって、大腸がんが近年急増してきています。男性では肺がん、胃がんに次いで、がん死因の第3位、女性では大腸がんは1位となっています。
早期発見のために大腸内視鏡検査を受けることが大切ではあるのですが、辛い検査の代表のように思われている風潮もあり、受けることへの精神的な敷居がやや高い検査であるもの事実かもしれません
大腸検査について検索したら、やはりありました、こんなコメント
「大腸の内視鏡検査はお産よりつらいって本当ですか?」
ネット上の質問に対して、こんなコメントも
「辛いのは、検査前に腸の中を出し切らないといけない事ぐらいかなぁ」
「2リットルの下剤を飲むのはちょっと大変でしたが(味がいまひとつ)、検査そのものはあっさりと終わりました」」
そうなんです。検査がお産よりつらいことはあり得ないですし、複雑な癒着などがある場合を除いて痛い検査でもないんです。これに関しては大腸カメラ挿入手技、術者などに依存する要素がやや大きいのですが。
いずれにしても、大腸内視鏡は、世間で言われている100倍ぐらい楽な検査です。
1点だけ避けられない、ややしんどい準備過程があります。
大腸検査前に腸をからっぽにするために飲む下剤です。
この避けられない準備過程を少しでも楽にするために、中島クリニックでは、さまざまな方法で検査準備をしてきました。
・ニフレック
最初はニフレック2リットル服用でした。当時はこれが標準的な大腸検査前の準備方法でした。味がまずいのが最大の難点でしょうか。便秘が強い人などでは、ニフレックだけでは前処置が不十分な時がありました。
・ニフレック+前日眠前ラキソベロン
ニフレックだけだと前処置不十分なときがあり、改善するために検査前日にラキソベロン(下剤)併用しました。
ラキソベロン追加のおかけげ、前処置良好なのが特徴です。しかし、検査前日にラキソベロン(下剤)の影響で夜中何度もトイレ通いすることがあるのが難点でした。
・ビジクリア(錠剤)
味がまずいニフレックの代わりに錠剤であるビジクリアへ前処置法に変えた時期があります。錠剤なので味はなく飲みやすいのが最大のメリットでした。
大腸に結晶セルロース残が多く、視野を確保するためにセルロースを内視鏡で吸引して取り除く必要があるのが難点でした(今は製品が改良され水溶性セルロースとなり、前処置良好です)。
若い方からは錠剤は好評だったのですが、高齢の方からは錠剤が飲みにくいとの声があったのが難点でしょうか。ちなみに検査準備のために服用する錠剤は「50錠」です。
・マグコロールP +前日眠前ラキソベロン
ニフレックにかわって前処置に使ったのがマグコロールPです。マグコロールPはスポーツドリンクのような爽やかな味で飲みやすいのが最大の特徴です。飲みやすい上に、前処置も良好です。眠前ラキソベロンの影響で夜中に何度もトイレ通いすることがあるのが唯一の難点です。
マグコロールP +前日眠前ラキソベロン、は飲みやすい上に、前処置効果も十分であり、この方法を標準的に使ってきました。
マグコロールP +前日眠前ラキソベロンは素晴らしい前処置方法なのですが、唯一の難点が、前日眠前に服用するラキソベロン(下剤)です。眠前にのむ下剤の影響で、夜中何度もトイレに行くため睡眠不足になってしまうのです。
少しでも患者さんの負担を減らせるよう、「眠前ラキソベロンなし」で、良好な前処置が得られる方法を確立したいと思い取り組んできました。
その思いを形にしたのが、日本大腸検査学会誌に受理掲載された論文「クエン酸マグネシウム等張液(マグコロールP)とポリエチレングリコール高張液(モビプレップ配合内用剤)の大腸内視鏡検査前処置効果のランダム化比較および各薬剤の特性検討」です。