大腸内視鏡(大腸カメラ)は、世間では辛い検査の代表としての位置づけのようです。
インターネット上で「大腸の内視鏡検査はお産よりつらいって本当ですか?」などのコメントを読むと、内視鏡検査に携わる者としては、がっくりくるとともに、ネガティブなイメージを払拭するべくより一層頑張らねばならないと感じます。
実際は想像されているようなしんどい検査では全くないですよ。
今日は大腸検査そのものではなく、大腸検査後の話です。
大腸は絵にすると、ジャバラ状ホースのような筒として書かれている事が多いのですが、実際には、広がったジャバラ状ではなく、ぺっしゃんこに折りたたまれたような状態で体の中に収まっています。
大腸内視鏡検査の時はぺっしゃんこの腸管に、空気を入れ、膨らませて隅々まで観察していきます。
これでも少し見にくい場所があります
隅々まで細かく検査することができます。
十分に精緻な検査を行うためには、空気を入れる必要があるのが、写真をみておわかりいただけると思います。
十分に送気して検査を行うことは極めて重要ですが、1点避けられない問題があります。
精緻な検査のためには十分に空気を入れる必要がある(当たり前)しかし、空気を入れると検査後の、お腹のはり感につながる(これも、当たり前)。
「二律背反」です。
精緻な検査のために大腸に空気を入れて観察することは必須であり、送気のために検査後のおなかのはり感を少し我慢していただくのが従来の大腸検査でした。
しかし、この二律背反を解決してくれる方法があるのです。
それが、炭酸ガスを用いた大腸カメラ検査です。
大腸の中に送る空気の代わりに、「炭酸ガス」を使います。
炭酸ガスは空気の200倍以上、速やかに腸管に吸収されます。
炭酸ガスを用いると、入れた時は腸管内は膨らんで十分観察できます。
その後は炭酸ガスが速やかに腸管に吸収され、腸のはり感を残しません。
炭酸ガスを用いて大腸カメラを行うと。
精緻な検査のためには十分に空気を入れる必要がある(当たり前)、しかも、検査後お腹のはりを残しません。
こんな言葉ありませんが、言うとすれば「二律両立」です。
空気の代わりに炭酸ガスを使う発想、単純ながら最初に気づき、行われた先生は本当にすばらしいと思います。
この炭酸ガスを用いるすばらしい方法、当院も導入しています。