医療コラム

2021.05.12医療コラム

マヌカハニー(はちみつ)は逆流性食道炎に効くのか

逆流性食道炎とはどんな病気

逆流性食道炎とは、文字通り胃酸が逆流して食道に上がってきて食道をあらす病気です。
症状は胃酸が食道に逆流してくることによる「むねやけ」「酸があがってくる感じ(どん酸)」です。

症状には個人差があり「むねやけ」「どん酸」のほかに

食道つかえ感
腹部膨満感
咽喉頭違和感
嗄声
胸痛
慢性咳嗽

なども引き起こすことがあります。

意外な逆流性食道炎の発見性

のどのつまり感があり、耳鼻咽喉科受診
のどはきれいで、ポリープや腫瘍などのないと言われる
それでも、のどのつまり感が続くため内科受診
逆流性食道炎の薬をのんだら、うそのように楽になった

胃酸が食道、さらに上まであがってきて、のどの症状まで引き起こしてしまうことがあるのです。

当地域では、耳鼻咽喉科の先生と内科の連携が良好です。
のどのつまり感で受診された患者さん、
耳鼻咽喉科の先生がのどにポリープや腫瘍がないことを確認、
逆流性食道炎を疑って内科へ紹介いただくことあります。

典型的な症状は胸やけと食道への逆流感(呑酸)の2つですが、それ以外にも多彩な症状をひきおこす病気が逆流性食道炎です。

逆流性食道炎はさまざまな病気と関連します

中耳炎、肺炎、歯牙酸食、睡眠時無呼吸症候群との関係。

逆流性食道炎は胃酸が食道へ逆流することにより食道の炎症や食道が傷つく食道の病気以外に、肺炎などの肺の病気や中耳炎を引き起こすことがあります。

肺炎、中耳炎その他に睡眠時無呼吸症候群、歯牙酸食(歯のエナメル質がとけること)なども関連するといわれています。

胃から酸が食道、さらには咽頭(のど)まで上がってくることが中耳炎、歯牙酸食(歯のエナメル質がとけること)を直接ひきおこす要因になっています。

逆流性食道炎をもっている方に睡眠時無呼吸症候群が多い傾向があります。酸は関係なく、肥満があると逆流性食道炎や睡眠時無呼吸症候群が増える。体格が関連しています。

逆流性食道炎をもっている方は肺炎リスクが高いという報告があります。逆流性食道炎のある人、ない人で比べると、逆流性食道炎のある人が1.26倍、肺炎が多かったという研究報告があります。
なぜ逆流性食道炎をもっていると肺炎リスクがあがるのか直接の原因はわかりませんが、のどまで上がってきた酸が肺のほうへ誤嚥している可能性が推定されています。

中耳炎、肺炎、歯牙酸食と逆流性食道炎の関係
想像以上に胃酸は上にまであがってきているものです。

逆流性食道炎 はちみつ マヌカハニーが効くのか

殺菌作用をもつといわれ、たびたび登場する「マヌカハニー」です。
人気が出過ぎてオーストラリアかニュージーランド、どちらが本家「マヌカハニー」論争までおきているようです。

はちみつである「マヌカハニー」人気の理由は、殺菌作用をもつといわれており、食中毒の予防にもなる、さらには「ピロリ菌」にも効く、「逆流性食道炎」にも効くともいわれているようです。

結論言っておきますが、はちみつである「マヌカハニー」で食中毒の予防はできません。

食品の適切な取り扱い、手洗い、加熱(これは細菌の種類によりますが)による予防ありきです。

ピロリ菌に関しても結論言っておきますが「マヌカハニーで除菌できません」。
ピロリ菌がマヌカハニーで実際に消えるかどうかの研究したオーストラリアの先生が論文にされています。

ピロリ菌除菌は、胃酸分泌を抑える薬(タケキャブなど)と2種類の抗生物質服用による3剤を併用する除菌治療です。

何にでも効くと噂されるマヌカハニーですが、逆流性食道炎にも効くとの説があるようです。

ではほんとに効くのか、それを検討した事実はあるのか論文を検索してみました。

PubMed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed

マヌカハニーと逆流性食道炎の関係の論文。

ないですね。

マヌカハニー確かにおいしいはちみつです。
効果過大に期待せず、食品として活用するのがいいでしょう。

逆流性食道炎の診断と治療

逆流性食道炎の診断は2段階からなります
問診と胃カメラ(内視鏡)です。

むねやけ、酸のこみ上げ感、食道つかえ感、腹部膨満感、咽喉頭違和感、嗄声、胸痛、慢性咳嗽等の症状を確認します。

どの時間帯に症状が出るか、食事で症状が増悪するか、時間帯、食事との関連を確認することも大切です。

夜中、食後は逆流性食道炎が起きやすい時間帯です。

そして胃カメラ(内視鏡)で食道を直接確認です。
食道と胃の接合部(EJジャンクション)を確認します。
食道と胃のつなぎめは、傷がないと写真のような状態です。

 

逆流性食道炎があると縦に傷がでてきます。

内視鏡で直接食道を確認することで、逆流性食道炎の程度が判断できます。

胃カメラで食道の状態の判断ですが、もっとも大切なことは食道がんや食道カンジダその他の病気が隠れて「いない」ことの確認です。

自覚症状、起きる時間などから逆流性食道炎を疑うことはできます。
しかし、食道つまり感、酸のこみ上げ感が食道がんやカンジダ食道炎などの他の病気から引き起こして「いない」確認は胃カメラでしかできないのです。

逆流性食道炎 まとめ

逆流性食道炎の典型的な症状はむねやけ、酸のこみ上げ感ですが、食道つかえ感、腹部膨満感、咽喉頭違和感、嗄声、胸痛、慢性咳嗽など症状は多彩です。

胃酸の逆流性食道炎は、食後、夜中に起こりやすいので、食事との関連、おきやすい時間帯は診断の補助となります。

逆流性食道炎にマヌカハニーが効くなど俗説がありますが効果のほどは疑問です。それよりも食事生活習慣の改善、適切な薬が有効です。

中島クリニック

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