中島クリニックでは大腸カメラを行った際、基本的に計10mm以下のポリープに対して同日ポリープの切除をおこなっております。
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ポリープがあった場合、
その大きさ、形、場所によって切除の器具を使い分けています。
今回は大腸ポリープを切除する代表的な方法である、内視鏡的粘膜切除術EMR(Endoscopic Mucosal Resection)をご説明したいと思います。
ポリープ、と一言でいっても平べったいコインのような形のものから、有茎性のさながらシメジのような(食べ物にたとえてごめんなさい)ものまで様々な形をとり得ます。
その中でも、どちらかというと平べったいタイプのポリープに対してEMRを行なう事が多いですね。
その具体的な方法は、
まず、ポリープは大腸粘膜という表面の層に出来るのですが、その下の層の粘膜下層という場所へ生理食塩水を注射します。
大腸の壁は順に、粘膜→粘膜下層→筋層→大腸の外(腹腔)という層から成り立っているのですが、そのうちの粘膜下層だけがお水を注射されたことでふくれあがるのです。
ミルクレープ状態の層が一層だけ一部厚くなる感じですね。
なぜこんな事をするかというと、ポリープを切除するときに一番気をつけないといけないのが大腸の外まで穴が開いてしまうことです。ポリープの切除は焼いて溶かすため、やけどが筋層に及んで穴が開いてしまうこともあります。
そうならないように、粘膜下層に切りしろを作ってあげます。
ポリープのある粘膜を取り残さないように粘膜下層でしっかり切りたい、でも穿孔は起こしたくない。だから、粘膜下層に注射をします。
切りしろを確保しておいて、スネアという針金の輪っかをポリープにかけます。
この輪っかはカメラの手元で操作することができ、巾着袋のひもを締めるかのように、ポリープの根っこをこのスネアで縛ります(スネアリング)。
そして、縛ったスネアに通電をして、傷口を焼き溶かしながらポリープを切除します。
切除後出血があれば状況に応じてクリップで傷口を閉じます(クリップをしなくても基本的に傷口は1週間で治ります)。
有茎性のポリープの場合は茎の部分(正常粘膜)で安全に切除できる事が多いので、注射をせずにそのまま輪っかで茎を縛って焼き切ります(医学的にはポリペクトミーという手技になります)。
さて、この切除したポリープ、どうなるのでしょうか。
大腸の中でコロンと転がったポリープ、カメラの中に吸い込むことができます。吸引した先にはこれまたそのまんまの名前「トラップ」がセットされており、このトラップへポリープは見事に回収されます。
ですので、ポリープはしっかり回収、病理検査へ回りますのでご安心ください。
ポリープの切除中、もちろんその後もポリープを切ることに対する痛みはありません。
手術後も一定時間安静にして頂き、その後お帰り頂けます。
但し、麻酔によりふらついたりすることもありますので、当日は車やバイクなどでお越しにならないようにしてください。
逆に普段と何のお変わりもないので活動的に動きたいところなのですが、1週間は注意が必要です。
傷口が治るときには、手の擦り傷などでもそうなのですが、新生血管という細い血管が生えてきて粘膜が再生していきます。この新生血管、何せ新しいのでもろいんです。
なので、切除して3-4日経ってからでもこの新生血管が破綻して出血することがあります。これは50-100人に1人の割合で起こります。
従って、ポリープを切除した後は1週間は激しいスポーツや血の巡りの良くなること、例えば長湯やゴルフ・テニスなどのスポーツなどはは控えてくださいね。